2020年8月31日

安倍首相の辞意表明

安倍首相が先週末に辞意を表明した。

国の内外ともに大変な状況下で、持病が悪化し、志半ばで再び政権の座を降りざるを得なくなった首相の決断は、断腸の思いと言うだけでは筆舌に尽くし難いものがあると察する。歴代最長となる7年8ヶ月の間、日本国のリーダーとして国政を担っていただいたことに感謝し、心から『お疲れ様でした』と言いたい。治療が困難な難病でもあるため、ここは体を第一に治療に専念してもらいたい。

日替わりメニューと言われるほど毎年のように首相が変わり国際社会で存在感のなかった日本の立場をここまで高めた総理はいない。日本の総理が中心となって首脳会談の議論をリードすることなど今までなかった。TPPや安保法制を成立させ、日本の外交戦略をアメリカの国際戦略にまで導いた功績はとてつもなく大きなレガシーである。

しかし、一方で長期政権となり丁寧な議論や手続きを欠く傾向が強くなり、強引な国会運営や政権周辺の忖度で国民の政治不信を招くことが多くなった。安倍首相の人となりを多少なりとも知る身としては総理自身に疑惑はないものと信じるが、行政の長としてこのような状況を作りだしてしまった監督責任は大きいと言わざるを得ない。

アベノミクスで株価が上昇し、国際環境だけでなく経済環境も間違いなく好転した。野党の政策も大胆に取り入れてきただけに、ここ1、2年の国会でのドタバタは残念である。また、未曾有のパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症対策は、もう少しリーダーシップをとって欲しかった。しかし、内閣総理大臣としての職責は十二分に果たされたと思う。今はゆっくり休んでいただきたい。

これから、自民党では本格的な後継争いが始まる。任期途中での辞意を受けた総裁選挙となるので、政治的空白は作るべきではない。党内のルールに従い最良の方法で選べば良いと思う。安倍首相が築いた国際社会での日本の存在感を損ねることなく、国民が生活に明るさを感じ未来に期待ができる、そんな夢を語りかつ実行出来る、総理・総裁が誕生することを期待したい!