安保関連法案と難民問題
香港滞在中の19日未明に平和安全法制整備法と国際平和支援法、いわゆる安保関連法案が参議院で大混乱のうちに可決・成立したというニュースを見ました。海外のメディアはこの法案に対して割と理解を示す報道が多かったですが、この国会審議を通じ日本の民主主義に疑問を持つ声も出ていました。日本では野党が戦争法案反対、徴兵制反対などを声高に叫び、その声をメディアがそのまま報道するため、国民の多くが反対の声をあげる結果となりました。
法案の是非の議論は本ブログの趣旨ではないのでここではしませんが、事実に反したレッテル貼りをし、国益を貶めるような行為を、一度は政権を担った経験のある政党が行なったことは誠に残念です。またマスコミもその声を検証もせずにそのまま報道するような姿勢ははいかがなものかと思います。この法案のどこが戦争法案で、どこに徴兵制度があるのかです。集団的自衛権の是非で争うなら話は分かりますし、数の力で及ばないから様々な国会対策上の抵抗を講じるのもわかりますが、良識の府参議院でこのようなデマゴーグを通じて乱闘騒ぎになるような採決を行なったことが未来永劫歴史の汚点として残ると思うと残念でなりません。政府の説明責任、与党の議事の進め方、野党の反対行動、ともに反省すべき点が多く残る結果となりました。
国の存立が問われる安全保障政策については、政府与党は先の戦争の反省も踏まえて丁寧な説明と慎重な議論、時間をかけた国会審議を行なう必要があります。また、野党も国民の誤解を招くような発言は控え国益を考えた真摯な態度で議論に望まなければいけません。国民がまたもや政治に不信を抱く結果となってしまいました。
政府がシリアの難民救済に向け対策を講じ始めました。他国の状況を見ながらわが国のできることを模索していますが、今の時点で本当に難民の視点に立った対策になっているかは疑問です。タブーに挑戦しできることは速やかに決断し果敢に実行する、これが3年前安倍内閣に期待した国民の声です。アベノミクスも安保法案も突き詰めればこの国民の声にいかに応えるかが成否の胆だと思います。
今や日本一国だけで平和を維持していれば良いという時代ではないです。世界が平和であることが日本の平和にもつながります。難民問題を遠い第三国の問題として考えるのではなく、世界全体でいかに対応しその中でわが国は何ができるかを、明日はわが国でも起こり得る問題として捉え、速やかに行動する必要があります。
仮想敵国による防衛力の強化ではなく、わが国が戦争に巻き込まれないためにも、国際社会に貢献できる活動を一つでも多く実現し、世界から信頼を得ることにより平和を実現する、同時にいざに備えた対策は常に講じておく、これこそがわが国がとるべき安全保障政策ではないでしょうか。
国会の議論のレベルと国民の意識の一層の向上を願います。